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アキラ・シラサギ、元宇宙統合軍軍曹。
彼は前戦争終結と同時に姿をくらまし、このセントラル・コロニーへと入り込んだ。
月と地球の間にあるこのコロニーは年間数千人単位の人々が出たり入ったりをするために、隠れるにはもってこいだったからだ。
そこでアキラは友人の元義妹であるリック・ホーキンスという少女と出会い、コロニー市長である彼女の父親の力を借りてこの場所に腰を下ろしていた。
「今、調子はどうなの?」
朝食のハムエッグを食べながら、アキラの向かい側に座るリックが聞いた。
彼女は腰まで届きそうな綺麗な金髪をポニーテール風にまとめ上げていて、スカイブルーの瞳は見るもの全てを癒してくれる。
何故自分をこうして助けてくれたのだろうかと、アキラは毎日のように思っていた。
といっても、最近だが。
「大分良いよ。フラッシュバックも起きないし、身体に異常はない」
牛乳をクビッと仰いでから、アキラはそう答える。
今までは、夜な夜な戦時中の光景を思い起こして苦しみに堪えていた。
それが薄れてきた今、自身はもう完全に回復していると断言出来る。
「そう……よかった」
ホッと胸を撫で下ろす彼女に、アキラはいつも感謝していた。
恋愛感情に近いものも感じてはいるのだが、それは自分で抑えるようにしている。
でないと、『彼女』が哀しむような気がしたから。
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