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―何処ぞの姫君に見初められた。 風の噂で耳にした話。 其れだけが、今の女の頭の中で渦を巻いている。 男が来なくなり幾日か過ぎたある日、女は其の話を聞いた。 初めは驚いたが、どこか納得していることに己は存外、淡泊なのだなと女は思った。 しかし日が経つにつれ、大きくなるその時とは異なる感情。 其れは、愛しさ故のものなのか。 .
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