~第2章~

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さて、どう考えても私のほうが分が悪い。 茂みに隠れ、自分の心のタイミングを探る。 奴が後ろを向いた瞬間、私は走り出した。 剣を抜き、大きく振りかぶり、力いっぱい斬りつけた!! キィィィィン… 金属音が鳴り響き、私の手は後ろに弾け、痺れを受ける。 予想はしていたが… 奴の皮膚が私の剣を拒絶する。 奴は私の方を向いて、咆哮をあげた。 耳が痛い… そして、こちらに走り出した。 やばい… 私は耳鳴りを我慢して盾を構える… 奴との激突。 やはり盾など気休め程度にしかならなかった。 リオレウスの体を受けた瞬間、盾は砕け、私の鎧にはひびが入り、肋骨を何本かもっていかれた… 奴を見ると突進した勢いを自分で殺せないのか、倒れこんでいる。 その隙を見て、また私は茂みに隠れた。 思考がまとまらない。 しかし、奴は来る… どうしたらよいのか分からない。 首を伸ばし、奴は私を探している。 どうする? 「…!?」 そんなことを考えている暇は無かった。 なんとリオレウスは私を見失ったと思ったのか闇雲に炎を吐き始めた。 …おいおい、待ってくれよ… 待ってくれるはずも無い… 奴の炎が私の方に向く… 私は横に全力で飛んだ。 奴の作戦にハメられた。 奴は私を見つけるとまた炎を吐く。 私はそれを避ける。 かなりぎりぎりだった。 なんせ至近距離からすごい勢いの炎の玉が向かってくるのだから… だが、避けたと思った私はびっくりした。 胸の辺りが焦げている… 奴の炎は周りの空気までもを焼き尽くすほど熱い… むき出しの皮膚も焦げている… 私はまた逃げ出した。 身が持たない… だが、これは意義のある撤退だ。 そう、意義のある撤退… 戦略的撤退なのだ。
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