~第2章~

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森の中に身を隠した私はポーチの中を見た。 とりあえず落とし穴はある。 閃光玉もいくつか持っている。 単純ではあるが、腹の下ならば肉質は柔らかそうな感じだったので、一か八か… またあの場所に戻ると奴は闇雲に炎を吐いていた。 …まぁ、そんなもんだろう… また茂みの中に身を隠し、奴が落ち着いたのを見計らって、目の前に飛び出した。 雄叫びを上げるリオレウス。 しかし、同じ手は2度と喰わない。 耳を塞ぎ、すぐに閃光玉をお見舞いしてやった… 奴は怯み、尻尾を振り回している。 私は落とし穴を設置し、直線上にリオレウスを見た。 正気に戻ったリオレウスはすぐに私を見つける。 口からは赤い炎が少し見える。 何かの本で見た。 奴がそういう状態の時はかなり頭に血が上っていると。 状況的にはもってこいだ。 奴は案の定、すぐに突進してきた。 そして、落とし穴に…見事落ちた。 私はすぐに剣を抜き、暴れるリオレウスの腹を斬りつけると何とも見事に刃が通ったではないか… しかし、多少の鱗かま覆っているのだろう、剣の刃こぼれはすさまじく早い。 それでも無防備の状態で4、5回斬ってやった。 相当の深手を負わせたはずである。 落とし穴から脱出する前に私は離れる。 脱出したリオレウスは空中に飛び上がった。 それを見つめる私に悪夢が襲い掛かった… 空中から火球が飛んできたのだ… これには驚いた。 私は反射的に後ろに飛んだが、地面に当たった爆風に吹き飛ばされ、それと一緒に飛んできた石の礫にひどくダメージを負った… うつぶせに倒れる私を空からリオレウスが見下ろしている。 「…もう終わりか…」 そう思った刹那… リオレウスが落ちた。 空中から落ちたのだ。 私は確信した。 奴もだいぶヤバイ… 渾身の力を振り絞り、私は立ち上がった。
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