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突然だがハンターになろうと思った。
家庭は貧しく、その日に食べる物さえままならない。
そんな環境で育てられた私は幼心にこう思ったのだった。
「大きくなったら、絶対ハンターになってやる。
僕は裕福な生活を送ってやる。」
現在、私の村にハンターはいない。
正確にはいなくなってしまった。
昔はとても優秀なハンターが数多くいたらしいのだが、いかんせん、小さな村にそれを継続する力などあろうはずもなかった。
彼もそのハンターの1人だったらしい。
いつも外でつったっているあの爺さん、このクロム村の村長だ。
あの爺さんが昔は凄腕ハンターだったらしい。
だが、それも本当かどうか怪しい。
そして、今は私がこの村のハンターになった。
周囲の人間には全員一致で反対をもらった。
特に母には反対されてしまった。
「お父さんがいなくなって、私があなたをどれだけ大切にしてきたとおもってるの?
もし、あなたまで帰らないようなことがあったら…」
と泣き出す始末。
だが、私の決意はそんなことでは揺らがない。
半ば強引にハンターとなってしまった。
なってしまえば、あとは何とかなるだろうと…。
さて、これから私は初めての仕事に行く。
内容はランポスの討伐依頼だ。
3日前、私の村にある女性が息を切らせて走り込んできた。
彼女はその場で倒れ込み、今は村長の家で療養中である。
1日が経ち、彼女は目を覚ますが、村長が彼女に1日寝たきりだったと伝えると、血相を変えて
「どうか、どうか私の村をお救いください。
時間が…時間が…」
かなり興奮した口ぶりで村長の腕をぐっと掴み、放そうとしない。
「まぁ、水でも飲んで、ゆっくりと状況をお聞かせ願いますかな?」
村長が水を差し出すと彼女は水をグッと飲み、一息つくと話し始めた。
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