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村に到着してみると私は驚いた。
廃墟と化したような村…人っ子1人見当たらない。
しかし、建物などは寂れた雰囲気もない。
それだけが廃墟ではないと思えるところだった。
メインストリート。
木造の建造物が左右に並び、奥には村長の家と思われる他とは少し大きな木造家屋が見える。
と不意に近くの建物の扉を開け、中に入ると私は何とも言えない気持ちに襲われた。
そこには見るも無残な光景が広がる。
床に乾ききった血の跡が地図のように染み、数秒、体が動かなかった。
視線を床からゆっくりと上に移動していくと食卓と思われるテーブルに目を奪われる。
椅子に大きな物体があった。
よく見ると人間…いわゆる遺体だった。
どうやら男性のようだが、肩から背中にかけて爪で引き裂かれた跡があり、首元に大きな噛み傷。
多分、苦しんだのだろう…テーブルの上に爪で掻き毟ったと思われる跡が無数に付いていた。
しかも、2日経過しているせいか腐敗臭が漂っている。
「………」
私は何とも言えない気持ちで押しつぶされそうになった。
私は何とも言えない気持ちで押しつぶされそうになった。
私はその臭いと緊張感に精神が折れそうになるのをグッと堪え、その男性を床にそっと寝かせ、布を被せる。
さらに奥に進むと父親と娘の写真が棚の上に飾られていた。
写っているのはさっきの男性のようだ。
その写真を見て、私は嫌な予感が頭をよぎった。
…家族がいる?…
食器が散らばる床の上を私は進む。
もう1人の犠牲者を発見してしまった。
夕飯の支度をしていたのだろう。
少し離れた場所で息の無い女性、あの男性の妻だと思われるが…
もう顔が分からないほどに傷つき、大量の出血が見られる。
私は心の中で-もう嫌だ-と思いつつも女性を男性の隣に寝かせ、布を被せてあげた。
今、予想通りの結果が最後の結末を否応なしに連想させてくれる。
娘はどこだ?
写真から見るにはまだ娘は幼いと思われるのだが…こんな幼い命まで自然は奪ってしまうのか…あんまりではないか?
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