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まだ肌寒い季節の中…
少しオーバーかもしれないが俺…間崎 雄太(マサキ ユウタ)はこれからの運命を左右するであろう日を迎えていた。
「ふぅ、たかが高校入試の合否くらいでこんなに緊張するとはな…」
そう独り言をぼやいて緊張を紛らわそうとしながら俺は合格すればこれから通うことになるであろう石波高等学校へと向かって歩いていた。
なぜ俺がこの石波高校を受験することにしたのか…それには理由がある。
俺ん家から近いからだ
いやいや、それだけではない。
伝統があり、由緒正しい高校であるこの石波高等学校を気に入ったからだ…
…本当だぜ?
着いた…な
アイツはまだいない。
俺は校門の前で立ち止まり、辺りを見渡す。
…まったくこーゆー大事な日に限って『アイツ』はいつも遅れて来る…
アイツというのは俺の親友で一緒にこの高校を受験した奴のことである。
まぁ一緒に合否の結果を見ようと約束してここでアイツを待っている訳だが………
ドン!
不意に背中に何かがぶつかる。
「あでッ」
いきなりの出来事についマヌケな声が漏れてしまった。
後ろを振り向くと女の子が申し訳なさそうに立っていた。
「あ、あの…ゴメンなさい…」
…ヤバイ
超カワイイ…あまり女の子に興味のない俺だがついその子の顔を見入ってしまった。
小顔で目がぱっちりとしていて、なんとも可愛らしい…それに肩に付くぐらいの栗色のストレートの髪がよく似合っている…
それでいて程よく素朴さが残っていた…
「…え?あぁいいよ別に…こんなとこに立ってた俺が悪いんだし」
「本当にスイマセンでした………じゃあ」
そう言って足早に俺の元から去って行く女の子…
うん、まるでフラれたかのようなシチュエーションだな。
虚しさを感じるのは何故だろう?
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