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「え?なんでだよ!?俺、合格したんだぜ?」
そうだ!俺は今年の春からこの高校へ通えるんだ!
おっしゃー!色々とやるぜー!!!
まずは彼女を作って…んで…
「うぉぉ!今から楽しみだぜー!」
完全に有頂天MAXモードになっている俺
「あのー雄太?とりあえずこっちに帰ってこようか?」
俺は呆れた表情でこっちを見る隆斗の視線で我に返った…
ッハ!
しまった…俺は何をガキみたいに喜んでいるんだ…
今更ながら恥ずかしい…
またしても周りの視線が痛い。
「と、とりあえず学校に行って先生に報告しないとな!」
赤くなっている顔で取り乱しながら隆斗にそう言うと俺は回れ右しようとしたが…
ズテン!
(あ、雄太が足を縺れさせてコケた)
何をやってんだ…俺
アホだアホすぎるよ俺、隆斗のこと言えねーよ。
つくづく自分に呆れていると目の前がフッと暗くなる。
顔を上げてみるとそこにはさっき俺にぶつかってきた女の子がいた。
「あ…」
「大丈夫?」
そう言ってその子は俺に手を差し延べる。
「す、スイマセン!」
その手を掴んですぐに立ち上がる俺…あれ?
よく見たらこの子…泣いてい…る?別に涙を流している訳ではないが目がうっすら赤く染まっていて、まつげがシパシパしている…
「あ、あの…」
何かをこの子に伝えたいのに言葉に出来ない…どうしてだ?
「大丈夫そうだね、じゃあ」
そう言ってさっきと同じ様に俺の元から去って行く女の子…
「あ…」
どうしたんだ…俺?
今更になって心臓の鼓動が早くなる、
自分でもなんで鼓動が早くなっているのかよくわからない。
あの子の泣いている顔を見たから?
まぁ正確には泣いた後の顔だけど…
それから暫くの間、俺はあの子ことが頭から離れなかった…
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