本当に死ぬと?

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病室に戻ると、いきなり、 「先生なんてやっ!ヤマて!?もうつまらんて!?」 と、待ち構えていたように兄ちゃんが聞く。 あまりの声の大きさと、本人が直接聞いてくるという不意打ちに言葉が詰まった。 みんなが私の顔を見ている。 口が開くのを待っている……。 「なん言いよるとね!!大丈夫って!!」 大嫌いな大嘘をついた。 「そうや……」 そう言って、兄ちゃんは天井を見つめる。 (ばれた?誰か助けてーっ!!治るとか、帰れるとか言えばよかったとーっ!? 他にどう言えばよかったんですかーっ!?神様ーっ!!) 長い間忘れていた神様を思い出したとたん、涙が溢れてきた。 こぼれ落ちないように必死でこらえる……。
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