プロローグ

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 人は三種類に分類する事ができる。  “殺す者”と“殺される者”、そして“傍観者”だ。  殺す側の人間は自分の理想の獲物を見付けようと、常に目を光らせている。いつ覚醒するかは人にもよるが、人を殺す事のみを生きがいとし、己を満たす目的で、永遠に獲物を殺し続ける。  猟奇的殺人犯などがこれに当たる。  逆に殺される側の者は、殺される為にこの世に存在し、自分が気付かぬ間に殺人者の罠にはまってゆく。  危険な匂いを嗅ぎ取る力に欠けていて、常に無防備。殺す側の人間からは、「どうぞ殺して下さい」と言っているように見える。  傍観者は、本能で危険を察知しそれを避けようとする為、余程の事がない限り、殺しとは無縁の人生を送る事ができる。  “殺す者” “殺される者” “傍観者”  僕はもちろん、殺す側だ。
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