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普段はダッシュなんてするキャラではないのだが、今回ばかりは仕方ない。こちとら命がかかっているから必死だ。
僕は急いで階段を駆け降り、ある部屋の前で立ち止まった。
ここは僕にとっての“オアシス”なのだ。
夏の放課後、僕は決まって図書室に立ち寄る。
この時期の図書室はクーラーがかかっており、僕が生きるのに最適な場所となっているからだ。
扉を開けると、涼しい空気に肌が触れ、とてもよい気持ちになった。
図書室の中には、僕と同じ目的で来た人がいるようで、本を大人しく読んでいる人に紛れて、“極楽”と言わんばかりのだらけ顔をしている奴らが目立つ。僕はそいつらの多くが太っている事に気付き、少しショックを受けた。
その肥えている人々が、僕の方を「早くドアを閉めろ」と言いたそうな目で睨んできたので、僕は慌てて中へ入り、図書室を正しい目的で使用している人に迷惑がかからぬよう、静かにドアを閉めた。
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