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「ほら、月!私達も帰りましょ。」
「う、うん!」
言わなきゃ。
言うなら今だよね。
さっきから心の中で繰り返している言葉。
私が言いたいこと、それは二人に対しての返事……。
私の答えはもう出ているのだ。
でもいざとなると口から出て来ない。
今言わなきゃいつ言うんだ。
そう自分に喝を入れる。
よし、頑張れ自分っ!
「紅、翔、待って!」
その言葉に二人だけじゃなく、みんなの足が止まる。
私の顔はきっと真っ赤。
真っ直ぐに二人を見れなくて、つい下を向いてしまう。
「あのね、私分かったの。自分の気持ち。」
すでに私達六人しかいなくなった教室に、私の声だけが響く。
私のその言葉で分かった二人は、私の前に並ぶ。
鈴はソッと私から離れて見守ってくれている。
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