第一章

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「ちょっと土方さん……いきなりそんな事聞くから、怖がってますよ」 ――『土方』 そう呼ばれた男を、少女は思わず凝視する。 「……っ」 合ってしまった目を、素早く逸らせた。 ……聞き覚えがあると思ったのは気のせい……? 今の彼女は、狼に追われ、死の恐怖に怯える兎そのもの。 青年はかたかたと震える少女を伺い見ると、徐に土方の腕をつねった。 「ってェ……何しやがる、総司!」 「貴方が悪いんですよ。土方さんの目が、鷹のようだから」 青年、もとい沖田は、終に俯いて布団を握り締める少女を顎でしゃくった。 「ほら、土方さん」 「餓鬼と面倒事は御免なんだよ」 「そんなこと言わずに」 ね、と首をかしげる沖田。 目が笑っていない。 土方は一つ、盛大に溜め息を吐くと、少女の前にしゃがみこんだ。
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