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肩透かしな女
日曜日の朝私はいつものようにソフトクリームを買ってキリンを見てた
世良さんとは待ち合わせなんかしてはいない
多分同じようにフラミンゴを見てるんだろう
私はキリンの睡眠にまだ遭遇していない
スローモーションな走りも見ていない
だからそれが見れるまでずっとキリンを見てるだろう…しかし、こんな狭い場所で走るなんてまあ至難の技だ
睡眠もうるさくてとれないだろうし、キリンはたった5分の睡眠だから見逃している可能性もある
こんな事いってたら多分私は…キリンしか見れないのだ
いい具合にお腹が空くと私はいつものメニューを買って椅子にすわる
同じくらいに世良さんも座る。メニューはいつもと同じだ
『緋代子さんはなんでキリンばかり?』私はキリンの睡眠だの走るとこみたいだの間抜けな事をつらつらと話した
『世良さんはなんでフラミンゴ?』
『まあピンクが綺麗だなって事あるけど脇がブルーのフラミンゴ探してる』
『みたことあるんですか?』
『ないよ(笑)都市伝説ってやつさ。ここの動物園には羽広げた時綺麗なブルーの脇のがいるって
そんなの有り得ないはずだけどさ…みたくない?自分が見たいと思うのは。だから君と同じだよ』
『ホントですね。昨日、会社の人に日曜日映画行かない?ってさそわれたけど…断りました。ここのほうが魅力的だし…その人達には少しガッカリしたんで…』
『相手は絶対OKだと思ってただろな、とんだ肩透かしだ(笑)』
『金曜日に飲み会誘われていったけど、私がいくべき場所じゃなかったですね。私は庶務課にいるんだけど、その悪口大会
私は針のムシロですよ(笑)相手はそうじゃなくてもね』
『確かにね。でもその時の緋代子さんはその二人にしたら魅力的に思えた訳だ…俺が感じたセックス上手そう的な何かじゃない?』
『どこに基準あるんですか』
世良さんはワハハハと大声で笑った
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