地味女は意外と…

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『タコ焼き美味しい?』初めて彼が話し掛けてきた 『焼きそばは?』 『まあまあかな…』 『でもメロンソーダはイケますよね』 『イケるというか…焼きそば食べる時、俺は家でもメロンソーダだよ』 変わった人もいるもんだ。普通はこんなとこだから美味しく感じるだけなのにさ 『大阪のタコ焼きと京都のタコ焼きの違い知ってる?』 『タコ焼きはタコ焼きでしょ』 『大阪のはタコだけしか入ってなくて、外はかりっと中がふんわり。京都は具がたくさん入っててお好み焼きに近いのさ』 長めの前髪を左手でかきあげながら彼は言った 『関西いくことあれば食べ比べしてみたら?』 『関西はいくんですか?』 『仕事で行く事もあるし、プライベートでもいくよ』 『あの…こんなにしゃべってもらえるなんて思いませんでしたぁ』 『ああ(笑)そうだよね。一年近く顔合わせてるのに』 『私、藤川緋代子っていいます』 『俺、世良龍馬。緋代子さんいくつ?俺30』 『私32年上だね』 『俺より下だと思った。それよりなんで目整形したの?』 あれ、気付いてた? 『理由はないけど…あえて言うなら地味な顔だったから』 『で、何か変わった?』 『変わんないですよ(笑)会社の人も気付いてなくて、地味なのは存在だと思いました お金勿体なかったな…服やらアクセサリー買えばよかった』 『切れ長でよかったのに。でも二重にして気付かない会社って…オッサンばかり?』 『私の部署はね。だってコピー機やらパソコン使えるの私だけだもの…窓際の吹き溜まり…時々思います、いつまでコイツらの面倒みなきゃなんないのかなって でもいまの不況の時期と歳考えたら文句言えません。会社に手合わせてますよ』 私はソーダを飲み干してため息をついた
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