Episode1

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    「はい、修理は終わってます。 どうぞお確かめ下さい」 商売用笑顔を、顔に貼りつけて。 丁寧に挨拶する僕こと恭介。 僕は老人の依頼品である年代物の腕時計をケースから取り出した。 落とさないように、 差し出してきた手の下に僕の手を添えて、丁寧に手渡した。 「おお……、見事な仕上がり。 ありがとうございます……」 老人は確かめるや否や、満足そうに笑みを浮かべる。 老人はそれを内ポケットにしまい、お返しにかすれた声でお礼の言葉を一言。     老人は受け取った代わりに、茶色い封筒を僕へと渡す。 この封筒を見た僕の心臓は 急に高鳴った。 何故なら、 それは先程の時計修理の報酬金。 では失礼。 と老人は会釈をし、踵を返す。 ヨロヨロと危なっかしい足取りで、彼はこの場を去って行った。  
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