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「僕をわざわざここに呼び出すなんて珍しいね。」
二つの気配がする方向に振り返るとハリスはクスッと笑って言った。
そこには白いローブと黒いローブを身に纏い、フードを深く被って素顔を隠した二人の青年が佇んでいる。
「そう言わないで下さい。この場所でしか君に会う事が出来ないんですから。」
白いローブを着た青年が苦笑してハリスに言う。
彼の名はアリオス・ツェリア・ゼウス(年齢不祥)。
神界を統べ神々の頂点に君臨する最高神ゼウス。
「文句言うなガキ。」
黒いローブを着た青年がムスッとしてハリスに言った。
彼はイーゼル・クライシス・サタン(年齢不祥)。
魔界を統べ悪魔達の頂点に君臨する魔王サタン。
実は三人は昔からの知り合いで時々下界でも会っていたのだ。
「…下界の悲惨な状況はわたし達も知っています。」
アリオスは下に俯くと悲しげに言う。
「…別に謝らなくていいよ。むしろ最後までデスガリウスを召喚した彼を止められ無かった僕に責任があるさ。」
ハリスは複雑な表情をする。
この時、ハリスの脳裏には白髪の肩まである長髪、灰色のローブを着た端正な顔立ちの青年の姿がよぎる。
その青年の名は、アサキム・ランズフェルト(22)。
同じレーティング国の召喚魔士でハリスの幼なじみ。
ハリスの次に才能の持ち主だった。
だが、ハリスの存在があまりにも大きすぎてアサキムは他の人々から中傷されプライドが酷く傷付きそしていつしかハリスを憎むようになった。
憎しみに呑まれ、最期には世界を滅ぼすためにデスガリウスを召喚して命を失ったのだ。
アサキムは何度もハリスの命を狙いハリス達と戦ったが、ハリスは自分のせいで傷付いたアサキムに対するむしろ罪の意識が多かった。
「本当だったら俺らが何とかしねぇといけねぇのに…。」
イーゼルは苦々しく言う。
「アリオスやイーゼルは下界に手を下してはいけない存在だから仕方ないさ。」
ハリスは呆れたように肩を竦めて言った。
イーゼルとアリオスは複雑な表情でハリスを見る。
「それより、君達二人なら僕の運命がどうなるか分かっているんだろう?…教えてくれないかい?」
ハリスは二人を見据え尋ねる。
「…酷な事だから言いたくねぇよ。」
イーゼルはばつが悪そうに言うと、ハリスからそっぽを向く。
「心の準備は出来ているのですか?」
アリオスはハリスに尋ね返した。
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