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「確かにな。」
ラミアの隣でソファーに座っている女性は僅かに微笑む。
白銀色のロングヘアー、白い着物を着ており、気品溢れる美しい顔立ちの女性。
名はカノン・シュトラウス(年齢不詳)。
人の姿をしていても真の正体は氷を司る神獣、レクシオンだ。
ハリスの召喚獣であるとともシルビアの主人。
なんだかんだ言っても皆ハリスの事を心配しているのだ。
「リナ、デスガリウスに滅ぼされずに健在なのはこの国だけなんだろう?」
ハリスは真っ直ぐ見据えリナに尋ねる。
「…そうよ。でも馬鹿な事を考えないで頂戴。この国にデスガリウスが攻め寄せたらハリス、貴方だけでも私が助けるわ。」
リナは一瞬僅に下に俯くが、すぐに真っ直ぐ見据え返してハリスに言う。
「…僕だけ助かっても意味は無いよ。」
ハリスは悲しげに微笑み言う。
「貴方に意味が無くても私達は貴方を失う訳にはいかないわ!」
リナはハリスに訴える。
「…リナ…。」
ハリスはリナを見つめ困惑する。
一方、中央病院に一台のリムジンが止まり、リムジンから一人の黒いローブと漆黒の杖を持った、茶髪の髪のダンディーな中年男性が降りて来た。
名はリディアン・マークウェン(56)。
魔法協会の理事長であるとともにレーティング国の国王であり、ハリスの実の父親だ。
「リディアン様、本当にお一人で大丈夫ですか?」
運転手が困惑しながら車から降りたリディアンに尋ねる。
「構わん。たかが息子に会うだけで護衛など邪魔なだけだ。」
リディアンは淡々と運転手にそう答えると、病院に入って行く。
「リっリディアン様!?」
思わぬリディアンの来訪に受付の女性はびっくり仰天した。
「少々尋ねるが、ハリス・マークウェンの病室は何号室だ?」
受付の女性にリディアンは尋ねる。
「はっはい!ハリス様の病室は三階の突き当たりにある奥の202号室になります!」
慌て受付の女性は病室の名簿を見ながらリディアンに答えた。
「そうか。教えてくれて助かった。感謝する。」
リディアンは受付の女性にそう言うと、踵を返して受付から立ち去る。
そしてエレベーターに乗り込むと、リディアンは三階に上がった。
三階でエレベーターから降りると、リディアンは受付の女性が教えてくれた通りに突き当たりの奥へと向かう。
突き当たりの奥に行くと、ハリスの病室へ辿り着いた。
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