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病室の前にはハリスの召喚獣のフレア、シルビア、エリック、ラミア、カノン達五人がいた。
「リディアン様?」
シルビアは逸早くリディアンに気付く。
フレアはリディアンを見て苦々しく舌打ちし、ラミアは頬を膨らませ、カノンとエリックはそんな二人に苦笑する。
「ハリスはいるか?」
リディアンはシルビアに問い掛けた。
「はい、中にいらっしゃいます。」
シルビアはリディアンに答える。
「そうか。悪いがそこを通してくれ。」
リディアンはシルビアに言う。
「国にハリス様がお帰りになられた後もずっと会いに来て下さらなかった貴方が今さらハリス様に何の用です?」
シルビアは真っ直ぐリディアンを見据え尋ねる。
「…。」
シルビアにそう尋ねられた途端リディアンは複雑な表情をする。
フレア、ラミアはリディアンを不愉快そうに見据える。
カノン、エリックはリディアンが答えるのを待つ。
シルビアはリディアンを真っ直ぐ見据えたままだ。
「…確かにお前の言う通りだ。今さらのこのことハリスに会いに来るなど虫がよすぎるな。」
リディアンは苦笑して答えた。
「では何故?」
シルビアは問いただすように再度尋ねる。
「…例え酷な事を言う事になったとしても…父親失格であっても…ハリスに言わなければならぬ事があるからだ。」
リディアンは思い詰めた様子でシルビアに言う。
「…分かりました。お通り下さい。」
リディアンの気持ちを知り、それ以上何も言えなくなったシルビアは病室の前から退いてリディアンに道を開けた。
「…感謝する。」
リディアンは擦れ違い様にシルビアに礼を言う。
コンッコンッ
「はい?誰ですか?」
病室のドアをノックする音が聞こえたのでハリスは病室から問い掛ける。
『わたしだ。入ってもいいか?』
…父さん…?
病室の外からリディアンの声が聞こえ、思い掛けなかったリディアンの来訪にハリスは驚く。
無論、それは傍らに寄り添うリナにも言える事だった。
「どうぞお入り下さい。」
ハリスはリディアンに答えた。
「うむ。それでは失礼する。」
リディアンはそう言うと、病室のドアを開けて病室に入って来た。
「父さんが僕の病室へ来るなんて珍しいね。」
ハリスはクスッと笑ってリディアンに言う。
「…。」
リナは無言のまま不愉快そうにリディアンを見る。
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