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「実は今日はハリス、お前に大事な話があるから訪れた。」
リディアンは真剣な面持ちでハリスに言う。
「僕に大事な話?」
ハリスはキョトンとした。
「この世界にデスガリウスが召喚され破壊の限りを尽くされるようになってから半年が経つ。今では健在なのはこの国のみとなった。」
リディアンは淡々と言う。
「遅かれ早かれ父さんが張った結界がデスガリウスに破られるのも時間の問題という事が言いたいんだろ?」
ハリスはリディアンを淡々と見据えたまま言った。
「…リディアン様、貴方まさか…!!」
リディアンが言おうとしている事が分かり、リナは声を張り上げてリディアンを問い詰めようとする
「リナ、いいよ。」
ハリスはそっとリナの手を掴むと制する。
「…っ!」
リナは納得がいかない顔をするが渋々引き下がる。
「その通りだ。この国をデスガリウスから救えるのは数多の神獣を召喚獣としたハリス、お前しか他にいない。」
リディアンはハリスを真っ直ぐ見据え言い放つ。
「…分かった。デスガリウスをなんとかして見るよ。」
ハリスはそれを重く受け止め、目を一度瞑るとまた目を開き決意した眼差しでリディアンに言う。「ハリス!?」
ハリスの答えたにリナは信じられないと言った感じで驚愕する。
「…酷な事を言ってすまない。」
リディアンは深々とハリスに頭を下げた。
「父さん、頭を上げて。息子に頭を下げる親なんて聞いた事が無いよ。」
ハリスは苦笑してリディアンに言う。
「しかし、病の息子にこんな酷な事を言う父親は失格だ…。」
リディアンは悲しげに言う。
「そうかな?僕はそう思わないよ。父さんだって悩んだ末に出した結論なんだろ?顔だってやつれているしね。」
ハリスはリディアンの顔を見てクスッと笑う。
確かにハリスの言う通りにリディアンの顔はやつれていた。
「なんとかして見るって…ハリス、あんた自分で何を言ってるのか分かっているの!?」
リナは声を張り上げてハリスに言った。
「分かっているよ。それじゃあリナはこの世界がどうなっても構わないのかい?」
ハリスは小首を傾げてリナに問い掛ける。
「そんな事ないわよ!私だって世界を救いたいわ。だけど貴方には余りにもリスクが大きすぎるわ!」
リナはハリスに悲痛な表情で言う。
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