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「それでも命を賭けて僕はこの世界を救いたいんだ。偽善者だって思うだろうけどね。」
ハリスは苦笑して言う。
「…ハリス…。」
リナは複雑な表情をする。
「命を賭けるって言っても死ぬ訳じゃ無いよ?」
ハリスはリナにクスッと笑って言った。
「へ?」
リナは目が点になる。
リディアンも目が点になった。
「恋人を残して逝くなんて無責任な事出来ないし、親より早く死ぬ子供なんて最低な親不孝だしね。」
ハリスはクスクス笑う。
「だが、デスガリウスをなんとかすると言っていたがどうする気だ?」
リディアンは困惑しながらハリスに問い掛ける。
「それはね…」
ハリスはリディアンに言い掛けた。
その夜、病院の屋上にはハリスが佇んでいた。
傍らにはリナもいて、周りにはフレア、エリック、シルビア、ラミア、カノンの五人の姿がある。
そよ風が心地よく吹く。
カンッカンッカンッ
屋上へと続く階段から慌ただしい足音が聞こえる。
バタンッ
「ハリス~!!会いたかったわ!!」
勢い良くドアが開いたかと思いきや、階段を上がって来た女性がハリスに走って抱きついて来た。
緑色の肩まである髪の長さ、胸を大胆に開けたセクシーな緑色のドレス、切れ長の緑色の瞳、絶世の美しい女性。
女性の名はアリス・トラ-ド(年齢不詳)。
やはり人の姿だが、真の正体は緑を司る神獣グリンワームだ。
ハリスの召喚獣で、リナと結ばれた後もハリスにアタック中。
「離れなさいよアリス!!」
リナは凄い剣幕で睨み付けながらアリスに言う。
「あっらぁ~?彼氏が抱き付かれただけで焼き餅妬いた訳?」
アリスはリナを馬鹿にしたように笑って言う。
リナとアリスは睨み合いになる。
女性同士の凄まじい険悪な空気を感じながらハリスは苦笑する。
カンッカンッカンッ
再び階段を上がる音が聞こえる。
バタンッ
ドアが再び開かれると、さこには十数人の男女が階段から上がって来た。
「長い階段をいちいち上がるなんて本当は嫌なんだよね。僕の完璧な美しい顔が汗だくになっちゃうよ。」
青年は手鏡で自分の顔を見ながらブツブツ文句を言う。
水色の腰まである長髪、青いコートを着た端正な顔立ちの青年。
名はサハラ・ノバディン(年齢不祥)。
人の姿だが、正体は水を司る神獣アクアドラゴン。
ハリスの召喚獣であるが、かなりのナルシストだ。
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