1話

9/15
前へ
/91ページ
次へ
しかし、燕が手を離す気配はない 上下に振ることはなかったが、さっきより強く握り、下を向いて震えている 泣いてる…? 私はどうしたらいいのかわからず、オロオロしていた すると、燕は目に涙を溜めて私を真っ直ぐにみた 「何をそんなに恐がってるの?」 …!!?? この子…なんで…? 「私は何もしないよ?」 なんで… 「私は裏切らない」 なんで…わかるの…? 「大丈夫だから」 やめてよ…もう人は信じない 「だから泣かないで」 泣いてる…? 私…泣いてる…… 「信じて」 信じて…裏切られたら…? 人は信じちゃいけないんだ… 「信じられない」 私が答えると、燕は悲しそうな笑顔を浮かべた 「まぁ、初対面だしね!! 無理もないか!! じゃあ、とりあえず名前教えて?」 いつもの私なら絶対に名前なんか答えなかっただろう この時は…どうかしてたんだ 「坂本葵」
/91ページ

最初のコメントを投稿しよう!

605人が本棚に入れています
本棚に追加