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しかし、燕が手を離す気配はない
上下に振ることはなかったが、さっきより強く握り、下を向いて震えている
泣いてる…?
私はどうしたらいいのかわからず、オロオロしていた
すると、燕は目に涙を溜めて私を真っ直ぐにみた
「何をそんなに恐がってるの?」
…!!??
この子…なんで…?
「私は何もしないよ?」
なんで…
「私は裏切らない」
なんで…わかるの…?
「大丈夫だから」
やめてよ…もう人は信じない
「だから泣かないで」
泣いてる…?
私…泣いてる……
「信じて」
信じて…裏切られたら…?
人は信じちゃいけないんだ…
「信じられない」
私が答えると、燕は悲しそうな笑顔を浮かべた
「まぁ、初対面だしね!!
無理もないか!!
じゃあ、とりあえず名前教えて?」
いつもの私なら絶対に名前なんか答えなかっただろう
この時は…どうかしてたんだ
「坂本葵」
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