第一章

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ぼこっ ぼこっ ぼこっ… 何度も何度も 男の悲鳴、体が壊れる音が辺りに響く。 トドメと言わんばかりに、真島は鉄パイプを大きく振りかぶった。 ニヤリといやらしい笑みを浮かべ、それを男の頭を狙って 振り下ろす。 …けれどそれは、桐生の手によって止められた。「…その辺で」 真島は桐生の手を睨み、桐生の顔を見て怒鳴った。 「…お前の為にやっとんのやろがぁ!」 それを聞いた桐生は、首を横に振り、目を細め、 「もう、十分ですから。」 と言って、真島の手を離した。 「…ほォ…」 真島は桐生を睨む。 そして、にかっと笑うと 何時もの声色に戻り、手を下ろした。 「…ま、ええわ。」 鉄パイプを道の端に投げ捨てると、片手をズボンのポケットに突っ込んで話す。 「お前も『子』持ったら、これくらい厳しく躾せなアカンでぇ?」 …それは、これから組を立ち上げる桐生に対しての、“兄さん”からの言葉だった。 真島は最後に桐生を睨むと、男に蹴りを入れて 立ち去った。 男は脇腹を押さえつつ立ち上がり、真島の背中を追った。 『…何をされても…親に付いて行くんだな。』 男の背中を見送ると、桐生は自分の目的地に急いだ。
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