第一章

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この女性は由美。 セレナで働くホステスで、桐生達と同じ孤児院で育った。 桐生達が上京したと同時に、後を追ってここ、神室町に来た。 由美は袋をカウンターの上に置き、桐生と錦山の間に立った。 そして、二人の手に握られているグラスを見ると言った。 「ちょっと!もう酔ってるの?私も入れなさいっ!」 桐生は そう言った由美に席を空け、もう一つ椅子を用意した。 「どうぞご遠慮なく。」 麗奈はグラスに酒を用意した。 由美は笑い グラスを受け取って一口飲む。 久々の 親友たちと過ごす時間は 淡々と過ぎていく。 笑いが絶えないこの幸せな時間が過ぎないことを願っても、それは叶わない願い。 けれど、少しでも、少しだけでも、長く続くように願う。 この時間だけが、自分が進んだ血生臭い道を忘れられるのだ。 その時、ふと桐生は由美の薬指を見た。 キラリと輝く赤い宝石がはまった指輪が、そこにはあった。 桐生の目線が指輪に向いていると気付いた由美は、桐生の顔を見て微笑む。 桐生はそれに返すように笑った。
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