196人が本棚に入れています
本棚に追加
1995年10月1日
午後5時47分
色とりどりのネオンが輝く夜の街、神室町。
急に降ってきた雨に、人々は困りつつも、傘を差したり、飲食店で雨宿りをしたりと自分なりに対応する。
………地面に打ちつけられる雨の音に混じり、パトカーのサイレンの音が街に響き渡っていた。
…あるビルの一室--
電気は付いてなく、真っ暗な部屋だ。
時折光る雷で、部屋全体が一瞬だけ照らされる。
…部屋には 赤いシャツの上にグレーのスーツを着た独りの男が、拳銃を片手に立っていた。
そして、その男の足元には… 頭部を中心的に撃ち抜かれた、小太りの男と、女性物の指輪が転がっていた。
男はその指輪を拾い上げ、内側に刻まれている人の名前らしきものを見た。
「……由美…」
その時、その部屋のドアが乱暴に開き、2人の警官が拳銃を構えて乗り込んできた。
警官は男に銃口を向け、「動くな!」と怒鳴る。
男はゆっくりと振り返り、穏やかな笑みをうかべた。
最初のコメントを投稿しよう!