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桐生は神室町内にある、一つのビルに入った。
何人もの構成員が入ってきた桐生に向かって、軽く会釈をした。
…そう。 ここは東城会直系、風間組の事務所なのだ。
桐生はそのまま奥の部屋の方へ足を運び、ドアをノックする。
「失礼します。」
軽いドアを開ける。
その部屋の中には、二人の男が話をしていた。
その二人のうち 杖を付いた一人の男が、桐生に気付き 声を掛けた。
「あぁ…ご苦労さん」
桐生は男二人に深々と会釈をすると、ソファーに座るよう促された。
杖を付いている男は、東城会直系風間組組長の 風間新太郎。
両親の居ない桐生にとっては、親のような存在だ。
桐生はソファーに座ると、アタッシュケースを机の上に置き、向かい合わせで座る 顔に大きな傷を持つ男に渡した。
「今月分のシノギです。
お納め下さい。」
傷の男はそれを見て「おう」とだけ言う。
顔に傷がある男は、東城会直系風間組若頭の柏木修だ。
冷麺が好きで、桐生も何度か買いに行かされた事がある。
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