第一章

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桐生は神室町内にある、一つのビルに入った。 何人もの構成員が入ってきた桐生に向かって、軽く会釈をした。 …そう。 ここは東城会直系、風間組の事務所なのだ。 桐生はそのまま奥の部屋の方へ足を運び、ドアをノックする。 「失礼します。」 軽いドアを開ける。 その部屋の中には、二人の男が話をしていた。 その二人のうち 杖を付いた一人の男が、桐生に気付き 声を掛けた。 「あぁ…ご苦労さん」 桐生は男二人に深々と会釈をすると、ソファーに座るよう促された。 杖を付いている男は、東城会直系風間組組長の 風間新太郎。 両親の居ない桐生にとっては、親のような存在だ。 桐生はソファーに座ると、アタッシュケースを机の上に置き、向かい合わせで座る 顔に大きな傷を持つ男に渡した。 「今月分のシノギです。 お納め下さい。」 傷の男はそれを見て「おう」とだけ言う。 顔に傷がある男は、東城会直系風間組若頭の柏木修だ。 冷麺が好きで、桐生も何度か買いに行かされた事がある。
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