第一章

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…前日、1995年9月30日 深夜 神室町に一台の車が走る。 その車はあるビルの前に止まり、中から2人の男が出てきた。 金色の龍が刺繍された服を着た 丸坊主の男が、もう一人の男に話した。 「兄貴、すみません本当…こんな取り立てに出張ってもらうなんて…」 赤のシャツにグレーのスーツを着た、もう一人の男が それに反応する。 「気にするなって言ったろ、シンジ。」 それを聞いた丸坊主の男は、いかにもばつが悪そうな顔をし、 「はい…」 と短く返した。 丸坊主の男に“兄貴”と呼ばれていた男の名前は、桐生一馬。またの名を“堂島の龍”。 わずか20代にして、東城会直系堂島組舎弟頭補佐にまでなった人物。 そして、丸坊主の男の名前は田中シンジ。堂島組の構成員だ。
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