196人が本棚に入れています
本棚に追加
「で、どこの奴等なんだ、その取り立て先は?」
桐生はそうシンジに聞いた。
シンジは短く返事をして、桐生に取り立て先の説明を始めた。
「直ぐ近くの街金です。もともとは他の組から金借りてたんです。」
シンジは掌を横に振るそぶりをみせた。
「ところが、金利すらまともに払わねぇ。
で、手に負えなくなっちまってウチに債権回収の依頼が。」
それを聞いた桐生は、腕を組み、車にもたれ掛かった。
「そうなのか。 で、幾ら回収するんだ?」
シンジは桐生の正面に移動して言った。
「二億です。
取り半って約束になってますから、ウチには一億入ってきます。」
桐生はうっすらと笑みを浮かべた。
「そりゃぁ気合い入るな。」
シンジはその言葉に笑い、話を続ける。
「で…今から取り立てに行く所、“ピースファイナンス”って会社なんですけど、“ファイナンス”っつっても、もぐりの金貸しですから、結構タチ悪いと思います」
最初のコメントを投稿しよう!