第一章

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「で、どこの奴等なんだ、その取り立て先は?」 桐生はそうシンジに聞いた。 シンジは短く返事をして、桐生に取り立て先の説明を始めた。 「直ぐ近くの街金です。もともとは他の組から金借りてたんです。」 シンジは掌を横に振るそぶりをみせた。 「ところが、金利すらまともに払わねぇ。 で、手に負えなくなっちまってウチに債権回収の依頼が。」 それを聞いた桐生は、腕を組み、車にもたれ掛かった。 「そうなのか。 で、幾ら回収するんだ?」 シンジは桐生の正面に移動して言った。 「二億です。 取り半って約束になってますから、ウチには一億入ってきます。」 桐生はうっすらと笑みを浮かべた。 「そりゃぁ気合い入るな。」 シンジはその言葉に笑い、話を続ける。 「で…今から取り立てに行く所、“ピースファイナンス”って会社なんですけど、“ファイナンス”っつっても、もぐりの金貸しですから、結構タチ悪いと思います」
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