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「……無視することないだろう。」
あの、嫌な空気からやっと抜け出して、
海が届けてくる粘つく風を受けながら歩くこと
約30分。
それでもまだ町…いや、村は見えてこない。
「ヒサヒサ。」
キモイ呼び方はヤメロ。
「弥ぴょん。」
「やーめろ!!!…ったく、誰のせいで、あの電車を途中下車する羽目になったと思ってんだよ。」
「何だ。まだ根に持ってるのか。」
まだとはなんだ。
「あそこから、今日は電車はもう出ないんだ。意味が分かるか??」
「歩いて、町まで行かなきゃならない。」
面倒臭そうに、白い髪を掻き分けながら祁美は言った。
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