残念な奴が倒せない

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さて。 その後、六番・白幡がセンター前。 七番・山崎が送りバント。 八番・加藤がレフト前。 九番・堀江が犠牲フライで一点追加。 打順戻って一番・銚子がサードフライに倒れ、スリーアウト、チェンジ。 この時点で 6‐0 。 どう考えても、我らが熱球倶楽部の圧倒的な大量リード。 たとえば、横浜戦の TV 中継で。 放送開始と同時に、 「横浜  0-6  京神」 などというスコアが ドーンと出ていたら、間違いなく俺はさっさとチャンネルを替えるか、ぢょしこーせーもののビデオ鑑賞に切り替えるだろう。 だがしかし。 一塁側・京極ガスベンチの表情は、相変わらず余裕綽々である。 いったい、何を企んでいるのか。 俺の疑問渦巻く中、七番・石田が打席に入る。 そして ―― 「ストラック !  バッター、アウッ ! 」 またしても、見送りの三振。 続く八番・脇坂。 ―― 見送りの、三振。 そしてラストバッター、片桐。 「 ―― ストラック !  バッター、アウッ !  チェンジ !! 」 結局、打者一巡すべて、見送りの、三振。 去り際、不敵に笑う、片桐。 そして、京極ガスナインは ベンチ前で円陣を組み、その中心の木下が、蒼天に向け、吼える。 「 ―― さあ、下ごしらえは仕舞いや !  ここからはフルパワーで行くでぇ・・・・・・ ・・・・・・ガスの炎で全てを燃やせ ! 」 「「「ガスの炎で全てを燃やせ ! 」」」 京極ガスナインの雄叫びが、大宮球場を震わせる。 この後の展開を、暗示するかのごとく ――
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