残念な奴が倒せない

3/10
前へ
/311ページ
次へ
それにしても、あんな打ち頃を見逃すなんて・・・・・・ 例えて言うなら、巨乳ロリのぢょしこーせーが自分で手錠しながら 「あたしを食・ べ・ て ♪ 」 と言ってるのに何もしない位間が抜けているぞ。 ・・・・・・ああそうか。 あまりに甘すぎる球だから、罠とでも思ったか。 例えて言うなら、前述のぢょしこーせーの背後に、 M-16 ライフルを構えた某スナイパーが控えている、とでも言うような。 ・・・・・・などと馬鹿馬鹿しいことを考えている間に。 「 ―― ストラーック、バッター、アウッ ! 」 五月女が、トップバッター・安藤を、三振に切って落としていた。 しかし妙なことに。 安藤は結局この打席、一回たりともバットを振らなかった。 手が出ないような際どい球は、初球ぐらいのものだったにもかかわらず。 続く二番・氏家。 スタンダードな構えで、どこにでもスッとバットを出せそうな巧打者スタイルのバッターという印象。 そんな氏家に、五月女は低めの変化球で的を絞らせないようにする。 そして、カウント 2-2 の平行カウント。 やや低めにストレートが入る。 氏家はこの球に・・・・・・ ・・・・・・手を出さない。 「ストラック !  バッター、アウト ! 」 結局氏家も見逃しの三振。 奴もまた、バットを一回も振っていない。 「どういうことだい、新浦 ? 」 俺は新浦に聞いてみる。 すると新浦は、すこしうなった後、 「・・・・・・偶然、とは思えないな・・・・・・もう少し様子を見る必要があるな」 と言い、右打席に入る三番打者の姿を目で追う。 三番・稲葉。 大きな構えが、パワーヒッターであることを物語っている。 そしてネクストバッターズ サークルで は、あの “ 残念な奴 ”―― ―― 木下藤吉が、その稲葉に向かって、なんか怒鳴っている。 「 ―― さあ、いつも通り下ごしらえや !  いきなり強火だとガスがもったいないさかいな !! 」 ?   ?   ? あの残念な奴、いったい何を言っているんだ ?
/311ページ

最初のコメントを投稿しよう!

510人が本棚に入れています
本棚に追加