残念な奴が倒せない

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「だからどんなに点差をつけても、“三回で試合を終わらす”ことはできないんだよっ! ・・・・・・最低でも“七回”まで七点差以上を保ってないとコールドは成立しない。わかったか深山?」 そう言って新浦はまた哀しそうな顔をする。 くそ。 いいアイデアだと思ったのに。 そんなことを思っていた、その時。 ・・・・・・ ! グラウンドから、快音が響き渡る。 俺がグラウンドに目を向けると。 目に飛び込んだのは、蒼天 に消える白球。 ・・・・・・そして、蒼天に拳を突き上げ、ダイアモンドをゆっくりと回る、福嶋の姿。 二打席連続の、ホームラン。 ・・・・・・もうあの “ 残念 ”(= 横谷 ) に替えて、次からこのおっさんが四番でいいんじゃね ? やがて、自信に満ちた笑みを浮かべながら、福嶋がホームインし、ダグアウトへ戻ってくる。 チームメイトの手荒い祝福を受けながら、福嶋は吼える。 「おっしゃ !  続けよお前ら !  なんてったってこの回あと二点入れて、裏抑えりゃ “ コールド ” だからな !  はっはっはっは ! 」 次の瞬間。 祝福ムードに満ち溢れていたダグアウトは、一瞬にして凍りつく。 そして、 その時ダグアウトにいた福嶋を除く全員が 、一斉にため息をつく。 「ここにもいたよ、残念な奴が・・・・・・ 」 「“のーみそ筋肉”を地でいってるよね・・・・・・ 」 「つくづく残念です・・・・・・ こんな人が私のライヴァルだなんて」 当の福嶋は、わけもわからず、 「 ?   ?   ? 」 と首をひねるばかり。 ・・・・・・やっぱり、打球の飛距離と頭の軽さは正比例するらしいな、うん。 「お前が言うな」 新浦・・・・・・ 人のココロ勝手に読むな。
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