510人が本棚に入れています
本棚に追加
「だからどんなに点差をつけても、“三回で試合を終わらす”ことはできないんだよっ!
・・・・・・最低でも“七回”まで七点差以上を保ってないとコールドは成立しない。わかったか深山?」
そう言って新浦はまた哀しそうな顔をする。
くそ。
いいアイデアだと思ったのに。
そんなことを思っていた、その時。
・・・・・・ !
グラウンドから、快音が響き渡る。
俺がグラウンドに目を向けると。
目に飛び込んだのは、蒼天 に消える白球。
・・・・・・そして、蒼天に拳を突き上げ、ダイアモンドをゆっくりと回る、福嶋の姿。
二打席連続の、ホームラン。
・・・・・・もうあの “ 残念 ”(= 横谷 ) に替えて、次からこのおっさんが四番でいいんじゃね ?
やがて、自信に満ちた笑みを浮かべながら、福嶋がホームインし、ダグアウトへ戻ってくる。
チームメイトの手荒い祝福を受けながら、福嶋は吼える。
「おっしゃ ! 続けよお前ら ! なんてったってこの回あと二点入れて、裏抑えりゃ “ コールド ” だからな ! はっはっはっは ! 」
次の瞬間。
祝福ムードに満ち溢れていたダグアウトは、一瞬にして凍りつく。
そして、 その時ダグアウトにいた福嶋を除く全員が 、一斉にため息をつく。
「ここにもいたよ、残念な奴が・・・・・・ 」
「“のーみそ筋肉”を地でいってるよね・・・・・・ 」
「つくづく残念です・・・・・・ こんな人が私のライヴァルだなんて」
当の福嶋は、わけもわからず、
「 ? ? ? 」
と首をひねるばかり。
・・・・・・やっぱり、打球の飛距離と頭の軽さは正比例するらしいな、うん。
「お前が言うな」
新浦・・・・・・
人のココロ勝手に読むな。
最初のコメントを投稿しよう!