春雪

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駅から徒歩5分程。 喋りながら新しい部屋へ向かった。 「どうよ、こっちに帰ってきた感想は。」 慎吾のその言葉の中に言わせたい言葉があるのはわかっている。 でもそれを俺はあえて避けた。 「ん~、やっぱ長くいた場所でもあるし落ち着くな!変わってねぇなぁ、このへんも。」 「1年ちょっとでそんな変わるわけねぇ~だろ。」 さっき言おうとして言葉を飲み込んだ俺のツッコミと同じようなことを慎吾は言って笑った。 「みんな元気?」 もちろん会社の人のことを聞いたつもりだった。 でも慎吾はそれに会社の人以外も含めたらしい。 「…あぁ、元気元気。」 少し躊躇したのも、苦笑いしたのも俺は見逃さなかった。 何か隠してるって気付いた。
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