白い蝶

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「あの子は……蝶」  絵美加は静かに言った。未来を見たときのように、ゆっくりと目を閉じる。 「蝶?」 「そう。白い蝶」  ――白い蝶。……そういえば、あの子は大切そうに手で包み込んでいた。あれは、蝶というよりも羽と言うべきだったが。 「あの羽……」 「そう。あれは、彼……」  だから、悲しくなったの。そう、絵美加は微笑した。
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