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「この世界に来る人は、何かしら心に傷を負っていたりします。あとは、自分が覚えていない何かを…この世界のどこかに、忘れ物をしているんです。アリス、貴女もね…僕は、忘れ物を探して居るんです。」
そう綺麗な顔を歪ませて続けたのは、白ウサギだったわ。
「その探し物が終わる時に、次のその役割が確定する、と聞いたことが有りますし。」
と、真顔になった。
「じゃあ、今の人は皆、何かしら事情が有るのね?」
そう聞くと
「えぇ、まぁ。ワタシは…どちらでしょうネェ…まぁ、いずれ…判ると思いますヨ?」
と、帽子屋さんは自分に言い聞かせているようにも聞こえる、意味深い事を言ったの。
「アリスは、忘れてしまった記憶を求めているんでしょうが、それを求めてはアリス…貴女が…ムグッ!」
其処まで白ウサギが言ったのだが、その言葉は帽子屋さんによって止められた。
「そろそろハートの城に向かいましょうか、アリス。立ち話もだいぶ疲れて来ましたし…ネ?」
と、私に向けた微笑み。
…白ウサギから要約すると<貴方、アリスをさっさと元の世界に帰す、何て考えてないでしょうネェ?彼女はあまりにも儚いので、気を付けて下さい>と聞こえてきた程に、黒かったらしいわ…。
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