Mad as Hatterー帽子屋ー

8/11
前へ
/43ページ
次へ
すると帽子屋さんは苦虫を潰したような顔になり 「嫌と言うかですネ…彼を見ていると、人参ケーキを思い出すので…軽く嫌味ですかネェ。」 人参ケーキ?確かに。 クスッと笑ったら、帽子屋さんに 「想像がつきましたかァ?」 と言われたわ。 「えぇ、ついたわよ。とてもね。呆れている帽子屋さんもだけどね?」 と言ったら 「ワタシもですかァ?アリスは想像力が豊かだって事ですかネェ。」 読書は想像力を豊かにするって聞くわ。 でも、実際にはどうなのかしら? 「そんなに想像力豊かじゃないと思うわ。」 と言うと 「自分で否定しない方が、良いと思いますヨ?」 と言われて、慌てて 「それじゃあ私、この部屋にするわね?今日は屋敷内を案内してくれて、有難う。」 と言ったの。 帽子屋さんは何を考えてるのか、読めない人だわっ! どうして私は、彼に翻弄されているのかしら。 「そこの部屋は誰も使っていませんネ~。どう致しまして、アリス。それじゃあ、ワタシは寝ますヨ~?何かあったら、ワタシの部屋に来たらいいです。おやすみなさい、アリス。良い夢が見れると良いですネェ。」 そう言って頭の上の帽子を深く被り、一礼をして去って行く彼。 ほんの少し寂しい。
/43ページ

最初のコメントを投稿しよう!

26人が本棚に入れています
本棚に追加