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すると帽子屋さんは苦虫を潰したような顔になり
「嫌と言うかですネ…彼を見ていると、人参ケーキを思い出すので…軽く嫌味ですかネェ。」
人参ケーキ?確かに。
クスッと笑ったら、帽子屋さんに
「想像がつきましたかァ?」
と言われたわ。
「えぇ、ついたわよ。とてもね。呆れている帽子屋さんもだけどね?」
と言ったら
「ワタシもですかァ?アリスは想像力が豊かだって事ですかネェ。」
読書は想像力を豊かにするって聞くわ。
でも、実際にはどうなのかしら?
「そんなに想像力豊かじゃないと思うわ。」
と言うと
「自分で否定しない方が、良いと思いますヨ?」
と言われて、慌てて
「それじゃあ私、この部屋にするわね?今日は屋敷内を案内してくれて、有難う。」
と言ったの。
帽子屋さんは何を考えてるのか、読めない人だわっ!
どうして私は、彼に翻弄されているのかしら。
「そこの部屋は誰も使っていませんネ~。どう致しまして、アリス。それじゃあ、ワタシは寝ますヨ~?何かあったら、ワタシの部屋に来たらいいです。おやすみなさい、アリス。良い夢が見れると良いですネェ。」
そう言って頭の上の帽子を深く被り、一礼をして去って行く彼。
ほんの少し寂しい。
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