第壱夜 永久の棘~深紅の記憶

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学校を後にした俺はあてもなく淡い月の光に照らしだされた街をふらふらと歩いた。 いつの日だっただろう…バイト帰りにこうやっていつものように愛咽の七星を加え紫煙を吐きつつ街をぶらぶらしていた…そしていつも様に空を見上げると真っ赤な月が昇っていた。 月の色なんて気にしなかったけど、その日は血の色みたいに真紅だったのでかなり驚いた事を覚えている。 眼の錯覚かと思い何度も眼を擦ったり開閉をしたのだが、赤いままだった。 俺は赤い月のことを少しばかり知っていた。 赤い月が昇る夜、幽霊や生きとし生ける者が輪廻転生すると言われている。 新たな生命か、はたまたあの人が呼んだのかは分からなかったけど、気が付いたら廃校になった学校の前に俺は居た。 まったく人気のない深夜、そして真紅の月のせいで俺は異世界に迷い込んでしまったのかと体を震わせていた…しかし意識とは裏腹に足は歩みを進め暗くボロクソでいつ床が抜けてしまうかわからない廊下を適当に歩いた。 どのくらい歩いたのだろう…いつしか足は痛くなってその場に座ろうとしたその時、真紅の月の光がひときわ強く、そう…たとえるなら人の血のように赤黒い色がその教室から放たれていた。 俺はかなり怖かった…あの人を失ってしまった日のことを思いだしてしまったからだ。 でも…ここで逃げてしまえばもう立ち向かえない。 だから俺は俺を変えるために恐る恐る扉を開けていく。 そして奈智を見つけた…奈智は俺を見るなり激しく怒り帰るように言っていた。 俺は不思議に思いつつも魅力を感じていつしか救いたいと願い、赤い月が昇ると学校へくるようになった。 奈智に会えると空虚な心が満たされたようになるからだ。 後日、店長や友人に聞くと赤い月なんて見えてないらしい。 しかし、俺には特殊な力なんてない…まぁ、そんなのどうでもいい。 俺はぼんやりと奈智のことを想い出し七星を吸い帰路についた。
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