○6 第1問

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朝長は自分が小学生の頃を思い出した。 その頃は『朝長』を『アサナガ』と読まれたときには頑なに返事をしなかった覚えがある。 桜木は1年以上ずっと我慢していたのか。 クラスメイトには無視され、学校側にはずっと名前を間違えられ…。 これではまるで自分の存在を否定されてるようだ。 「閏年に産まれたのか?」 「いや、違いますよ。」 「え、じゃあ何で『閏』なんだ?」 「4年に1度1年が366日の閏年みたいに、他は平凡でも何か1つだけ人より優れてる部分をもって、そこを大事に、自分の特徴にできるようにお父さんがつけてくれたんだって。」 「そうか、いい名前だな。」 「うん、ありがとう。」 「まずい、今から2組で授業だった!それじゃあな!」 朝長は初めて生徒のことに興味をもって会話していたことに、全く気付いていなかった。
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