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『合鍵、返せよ』
彼からのメール。
別れるとか、ごめんとか、何も彼は言わない。
ただ、合鍵を返せとだけメールしてくる。
キーホルダーについた彼の部屋の合鍵。
私の唯一の居場所だった部屋の合鍵。
返したくない。
だってあそこは。
この合鍵は。
ピンポン…。
「合鍵、持ってきた」
1ヶ月ぶりの部屋。
彼は浮気相手の女と一緒に住んでいた。
この部屋に私の居場所は無くなっていた。
「ああ。」
それだけだった。
彼は合鍵を女に渡しすと、キーホルダーを私に返してきた。
もう、私の居場所は無いんだね。
渡されたキーホルダーが、淋しげに手から落ちていき。
床の上でバラバラに砕けた。
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