―ハイヒール―

3/6
前へ
/43ページ
次へ
薄暗い外灯だけが照らす住宅街。 その路地にいるのは見える限りは僕だけ。 やはり…気のせいか。 僕は再び歩き出すと、少し足早に自宅に向かう事にした。 何か妙な空気が路地を包んでいる気がした。 タッタッタッタ…。 コツコツコツコツ…。 歩き始めてすぐ…足音が重なった。 すぐさま振り返った僕は、やはり誰もいない路地に恐怖を感じ始めた。 (なんなんだよ…。) ハイヒール音は無い。 僕が立ち止まっているからか、ただの空耳かは分からないけれど…とにかく音は消えていた。 確認しようと来た道を引き返そうとした時…。 (あれ?) 足が動かなかった。 押さえつけられてるワケじゃない。 足元にも何もないし、感覚はある。 それなのに動かない。 「なんで…」 ふと、もう一度足元を見た時。 ぞくっ…。 僕は息を飲んだ。
/43ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加