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「…またあの手紙が来たの?」
母親が心配そうに声をかけてきた。
「大丈夫だよ…」
その時、家のドアを力強く叩く音がした。
「なにかしら…」
母親が小さく呟きながら玄関のドアを開けた。
「はい…きゃっ」
母親の小さな叫び声がした。
少年は玄関に向かおうとしたが後ろから手首を捕まれた。
「逃げろ」
父親だった。
「早くこれを持って裏口から逃げろ」
「ちょっと待てよ、何が起きてるんだ?」
少年は父親に押し付けられた麻袋を握りしめ父親を見上げた。
「王が痺を切らしてお前を殺せと兵隊に命令を出した、王にとってお前は異人だ…早く逃げろっ」
少年は息を飲んだ。
「俺と母さんなら大丈夫だ、早く逃げろ」
父親はニッと笑い少年の背を押した。
少年は駆け出した。
父親と母親の悲鳴を背に聞きながら…
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