素晴らしくアンティパシー

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「悪い子だね本当に!」 ぐい、と頬を抓られた。 痛い。気持ち悪い。離せ。近寄るな。 自然と眉間に皺が寄る。 本当にこの兄貴はいけ好かない。何だってこいつは、こいつは…こいつは、の後に何を述べればいいのか。嫌悪すべき点が沢山在りすぎる。 幾つか述べるとすると、何故男の癖に化粧をするのか。何故パンツなのか。何故兄なんだ。最期のは少し違う気がしないでもないが触れない事にする。 まず今現在こいつに説教されている事自体が気に食わない。確かにこいつの羽根を引っ張ったのは俺だけど、説教されるなんて聞いてない。気に食わないから引っ張ったんだ、何が悪い。何なんだよその羽根。 クジャの言葉など馬耳東風。ジタンはひたすら不機嫌そうに口を尖らせている。 「大体君は…ってジタン!聞いてるのかい!?」 「ハイハイ、聞いてマスヨー」 「嘘だ!聞いてなかっただろう!」 ああもう。そうだよ聞いてなかったよ、だから何だよ。 「本当に君のような捻くれた子は知らないよ。何でこんな子に育ってしまったんだ…はあ…僕の事をお兄ちゃんとも呼んでくれない弟なんて…」
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