素晴らしくアンティパシー

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「げー、お兄ちゃーんってか。うぇー。」 吐く様な真似をして言ってやった。 クジャは哀しいのか腹立たしいのかよくわからない表情をしていた。 こんな弟嫌だろ?俺もお前みたいな兄貴嫌だよ、だからほら縁切っちゃおーぜ。 口には出さず、指で縁切りを表す。 すると今度は、明らかに悲しんでいる表情を見せた。 良心がちくりとも痛まない自分を、酷い奴だと自己嫌悪したが、いい気味だ、なんていう気持ちが勝っていたり。 それから両者ぴくりとも動かず。 「もういいか?」 クジャはずっと俯いたまま。それをOKと言っているのだと勝手に判断し、後を向いた。 数歩歩いて振り返り、 「じゃあな」と言いかけた唇。
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