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そしてそのカフェでの雲雀個人に関する情報もこちらが聞き耳を立てずとも常に耳に入ってきた。 バイト先の制服がヨーロッパ調のお高い燕尾服であるとか、接客をする時は普段は無愛想な雲雀がどことなく優しい雰囲気を醸し出しているとか、もう一人のバイトの人と仲が良いのか悪いのか、よくクチ喧嘩をしているだとか。 そこまで知っていると、想像だけで自分はその店に行ったような気になってくるが、実際には綱吉がそのカフェへ行ったことは一度も無い。と言うのも、雲雀本人に行くことを禁止されていたのだ。理由を聞けば、そのお高いらしい燕尾服を着ている姿を見られたくないのだとか。先輩にしては可愛すぎる理由である。 しかしダメと言われると余計に我慢出来なくなるのが人間の悲しい性であって、申し訳無いと思いながらも授業が終わった後、大学からほんの数分の場所にあるそのカフェへと足を運んだ。
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