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「あ」
顔を見たことすらなかったが、自分の目の前に立つこの男が誰なのかは容易にわかった。Tシャツにジーパンと、なんともラフな格好で一見パティシエには見えないが、日本人とは違う調ったルックスと何故か手に握られた卵から、噂のイケメンパティシエであると伺える。
男は、ついまじまじと見いる綱吉に、少し不思議そうに首をかしげるも、愛嬌のいい笑顔を向け話しかける。
「甘いもん、好きか?」
「えっ…あ、えっと、好き、です」
「今日はウチのケーキを食べに?」
イケメンたちを盗み見に来ました!
なんて言えるわけもなく、とりあえず「はい」とだけ答えると、男はこれまた眩しいくらいの笑顔を向けてきた。
「じゃあ店こいよ!」
そう言うと、返事も待たずに綱吉の手を取り、嬉しそうに決定な!なんて言ってまた笑った。こんな笑顔を向けられれば、惚れない女性などいますまい。
あっけにとられた綱吉は、そのまま身をまかせるしかなかった。
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