10707人が本棚に入れています
本棚に追加
/61ページ
「oh!時間がないわ!皆によろしくね。さぁ行って!」
仕事の合間を縫って見送りに来たキャシーは自分の腕時計に目を走らせると俺の背中を押した。俺は笑顔で手を挙げてエスカレーターに乗り込んだ。
飛行機の座席に座ると直ぐさま茶封筒を取り出して中身に目を走らせた。中は一見すると仕事の書類に見える。
しかし、これは封筒その物に仕掛けがされていて、実際に封筒は二重になっている。
つまり仕事用の書類はダミーである。だいたい手の込んだ真似をするのは他人には漏らせない情報だからだ。
封筒から取り出した他人には漏らせない情報の用紙を取り出して、文章に目を走らせる。
『潤は社長の愛人の子供。近々、会社は兄の潤に売買される予定。隠蔽工作のためと思われる。』
なるほどね。代表者を変えてある程度の隠蔽工作を測ろうとしてるって事か。
しかも社長の愛人の息子って事は知られていないとすれば更に好都合だろう。今までの薬の密輸入などのやり取り事態がなかったのではないかと疑わせることだってできる。
携帯の電源を落とし、キャビンアテンダントを呼ぶと、仮眠をとるため膝かけを持ってきてもらった。
最初のコメントを投稿しよう!