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見た目とは違いなかなか肝の座った女性だ。
「借りを返してもらいたいんだよ。」
何かしら?と子首をかしげて可愛いらしく聞く彼女に本部に戻りたいと申し出た。
「そんなこと電話で済む用件なんじゃない?それとも・・・クスクス」
女のカンというやつだろうか?少し辺りを伺うように見回すと
「場所を変えましょう。」
そう提案をした櫻井。
カフェに入るといきなり切り出された本題に俺は飲んでいたアイスコーヒーを吹き出しそうになった。
「異動の理由は女?」
何かを企むような笑みに内心ドキドキした。
「まぁな。」
平静を装いながら返答する。
「相手は?」
目を輝かせながら見つめる彼女に俺は白状した。
「天海さん。」
あぁ・・・と少し残念そうに言う櫻井を横目で見ると彼女は少しため息をついてやめておくように言われた。
「あの子、頭はキレるし器量も良いけど、浮いた話は一度だけね。それも例の政治家の息子。」
例の政治家の息子・・・佐伯か。
「でもそいつとも随分前に破局したって話よ。まぁ彼女が所属する部署の部長が辞めるらしいわ。ただその上司の後任が決まってないんだけどね~。」
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