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ニヤリという効果音がつきそうな口元と下からの上目遣いで、そこで良いかしら?と聞いてきた。
「是非!」
こんなチャンス滅多にない!
「NY支社でも立て直し終わったみたいだし、一ヶ月で戻って来て。それからその二日前の土曜日はここのバーにきて。」
そう言われて差し出された紙切れには店の名前が印されていた。
俺が首を傾げてみるが櫻井は席を立ち上がった。
「私は仕事に戻るから。」
そう言って立ち去る後ろ姿は確実に何かを企んでいる。あの女はいつだって1番大事な事は口にしない。
俺はため息をついて紙切れに目を落とした。一ヶ月・・・一ヶ月だぁ!?
ゆっくりしている暇はない。俺はカフェを後にすると名簿を片手に歩いた。
行く先は天海華織のマンション。
ふーん、ここに住んでるのか。
携帯を取り出すと、すぐに近くの神田グループ傘下のホテルの支配人を呼び出した。
「神田だ。プライベートルームを来月から使用するかもしれないから。悪いがよろしく。」
次に同じグループ傘下の不動産屋に電話した。
「神田だ。キャッシュで買いたいマンションがある。資料をメールするから価格は交渉が難しいなら言い値で構わない。」
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