~少女の宿命。知りながら救えぬ母~

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「………なんということだ」 里の医師は一番初めにそう言った 「こんなことがあっていいのか⁉」 「…この子の運命は既に決まっていました」 そう答えたのは小さな赤ん坊を抱いた綺麗な女 「…貴女はわかっていながらこの子を産んだのか…‼」 「それがこの子の運命なのです」 淡々とした口調で女は言った 「…酷い運命を負わせたものだな。この子は一生人に恨まれるぞ」 「…………」 「せめて、産まれてくる前に…」 「それでは意味がありませぬ」 女は凛とした声で言った 「…なんだと?」 医師は眉間に皺を寄せ女を睨み付けた 「この子は産まれてこなければならなかったのです」 「……何故」 「この子が産まれてこなければ、世界の均衡が崩れ世界そのものが無くなっていたでしょう」 「…世界が、無くなる?」
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