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女の言うことが理解できずますます眉間に皺を寄せる
「世界はこの子を選びました。この子でなければ駄目なのです」
「………」
医師は女の言うことを理解するのを諦めたようだった
『まったく…何故儂がこの女のもとに来なければならないのだ…』
「それが運命というものです」
「…‼」
女は医師が思ったことに応えるようにそう言った
「………」
「この子に名前をおつけ下さい」
この里では医師が子の名を付けるのが掟だった
「…貴女には儂がどんな名を付けるかおわかりだろう?」
「それでは意味がないのです」
女は淡々と応える
感情が全て抜け落ちたかのように
「…この様な子に名付ける名などたかが知れとる。この子は───」
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